2023.05.30 更新日: 2024.10.08
目次
企業研修や学習の面でも普及してきたeラーニング。
eラーニングなら従来の研修と比べて研修にかかるコストを削減できるうえ、受講者の学習状況を効率的に管理することができるため、より高い教育効果があると期待されています。
そのためにも多くの現場に活用していただきたいシステムではありますが、導入する前に疑問に思う点については解消をしておく必要があります。
例えば、eラーニングについて言及するときに、「LMS」という言葉を聞いたことはありませんか?
これはクライアント様からもよくご質問をいただく内容なのですが、eラーニングとLMSは異なる意味を持っているにも関わらず、セットで語られることが多いため混同されてしまいがちなのです。
「では、その違いについて教えて!」というみなさんの声にお応えして、今回は、eラーニングとLMSの違いについて詳しく解説していきましょう。
eラーニングとLMSは、どちらもコンピューターやインターネットを活用して実施するものといった点では同義語ではありますが、「方法・手段」なのか「道具」なのかという違いがあります。
極論をいえばLMSがなくてもeラーニングを実施することは可能ということです。
しかし、LMSはeラーニングを実施する上で必要な機能が揃ったシステムなので、eラーニングをスムーズに運用する為にも、eラーニングを実施する企業のほとんどがLMSを導入しています。
それでは、違いをより知るために、以下よりそれぞれの役割と特徴を解説していきましょう。
まずeラーニングは
あらゆる学習のこと
と定義されています。
ビジネスにおいては、業務を行う上で必要な知識・技術、効率よく行うためのノウハウ、注意点等、これら多岐に渡る内容を、デジタルデバイスを使って学習、共有させるなどをしています。
特徴としては、
といった点が挙げられます。
では、LMSとは一体どのようなものなのでしょうか?
LMSは学習を管理する為のシステム「Learning Management System」の略語ですが、先述の通り、LMSがなくてもeラーニングを実施することは可能です。しかし、効果的なeラーニングを実施して教育効果を高めたいと考えているなら、LMSの導入は必須といって過言ではないでしょう。
例えばビジネスの場面では、主に人材育成や研修の管理に活用されており、従業員と教育担当者もしくは講師、管理者が利用します。使い方は、LMSに備わっている機能や種類によって違いはありますが、大まかな流れは以下の通りです。
このように、そのデータベース内にあるコンテンツの管理や、「どこまで学んだか」「どれほど理解できたか」などの受講者の学習データの管理などを管理者が行い、受講者を効率的にサポートする、という仕組みであることがわかります。
従業員と教育担当者・講師、管理者が1つのサーバーを利用し、互いに情報を共有する、いわば「橋渡し」のような役割を担っているのがLMSなのです。
社内向けeラーニング導入や構築に必要なeラーニングシステム(LMS)とは?
それぞれの特徴がわかったところですが、さらに違いを知る為に、eラーニングとLMSがタッグを組むことでいかに問題の解消に繋がっていくのかをご紹介していきます。
LMSを使わない場合のeラーニングには以下のような課題がありました。
しかし、LMSを導入することで、先述した特徴や機能を生かして課題を解決できるようになります。
具体的にどのように解決するのでしょうか。
eラーニングは、研修管理者や講師が作成したコンテンツを受講者が閲覧して学ぶスタイルのため、コンテンツを発信・受信するツールが必要となりますが、LMSはその役割も担っています。
そもそもLMSを使わない場合のeラーニングでは、資料やアップロードした動画サイトのURLをメールで送信するなどの手法が取られています。しかしこれらの方法には、メールの送信漏れが発生するという問題点があり、だからといって一斉送信では個人に合わせた研修を行うことができません。
一方LMSは、監修管理者や講師がコンテンツを登録し、受講者がシステムにアクセスするだけで、研修を実施することが可能。送信する手間がなく、送信漏れも防ぐことができるようになるのです。
また受講者は、自分に必要な研修をLMS内にあるコンテンツから選び、知識・スキルを習得できます。個々に合わせた教育を効率よく行えるLMSは、人材の多様化が進んでいる今、特に適した配信機能を持ち合わせていると言えるでしょう。
eラーニングは多くの教材を提供できることが強みですが、教材の数が増えすぎるとどの教材を誰に配信すべきなのか、管理が難しくなってしまうという課題があります。
また、法改正などによって教材の内容を一部差し替える必要があったときも、紙の資料を書き換えて人数分コピーしなおすといった手間が発生してしまうのです。
LMSには教材管理の機能も備わっているため、膨大な数の教材がさまざまなカテゴリで分けられ、かつ、検索機能によって簡単に管理することができます。内容に変更が生じた場合でもスムーズに更新でき、常に教材を最新の状態に保つことが可能なのです。
さらに、受講者を「新入社員」や「●●部」といった属性で分け、属性ごとに教材を配信する機能もある為、教材の配布ミスといった人為的トラブルも防ぐことができます。
すべての教材がデータとして保存されているので、学習の進捗や理解度が、明確な記録としてLMS内に残り、それを根拠として手法を変えるべきなのか、内容に問題があるのかといった課題点も、的確に見つかることでしょう。
このように研修に関するデータの可視化にも役立っているのです。
受講者の能力を効率よく高めるには、現状の把握と分析、改善を繰り返すことが重要です。
対面研修では、講師と受講者が実際に顔を合わせることができるため、講師が学習の進捗状況を大まかに理解することができます。
しかし、eラーニングでは受講者が自分のペースで学習を進めていくため、その把握があいまいになってしまう点も課題です。
そこで活用されるのがLMSです。
LMSを使うことで、学習管理機能により受講者の学習状況や成績が自動でまとめられ、管理者は従来の集合研修よりも詳しく客観的に学習管理を行うことができます。
受講者のeラーニングに対する取り組みを正しく把握できることで、どのような知識・スキルを習得しているのか、今後のステップアップにはどのような能力を伸ばすべきなのかなど、学習スケジュールの設計にも活用されます。
このようにLMSは、eラーニングという手法だけではできない人材育成の効率化を手助けする役割を担っているのです。
eラーニングはオンライン上で学習をすることが目的であるゆえに、個々での受講となり横のつながりというものはありません。
疑問に思ったことをその場で聞くことができないなどの問題もあり、長続きできない受講者もいます。
育成をする際は、受講者同士のコミュニケーション、管理者側からの観察、適切な指導が欠かせません。直接接することでモチベーションが上がったり、相乗効果で学習意欲が湧いたり、もっとこういった学習をしたいと意見を伝えられたりと、やはり人との関わりは欠かせないものです。
しかし、この課題については、LMSであっても、コミュニケーションそのものの解決は難しく、様々なツールを駆使して、受講者同士、講師と受講者を繋げる工夫が必要となります。
このあたりは、どのようなツールを選ぶか、受講者がそもそもコミュニケーションを必要としているか、授業内容がコミュニケーションを前提としているか、などによっても大きく変わってくるため、前提条件の整理とあわせて、運用面での整理も必要になります。
そのため、LMSを活用することと合わせて、その研修(教育)において、重要なポイントは何かを考え、コミュニケーションの必要性を判断することが必要です。
LMSを使わない場合のeラーニング研修では、オンライン上のオープンな場所に教材をアップロードするケースが多く見受けられます。
これは便利で手軽な反面、受講対象者以外の人にアクセスされてしまうセキュリティ面での大きな課題です。
特に自社オリジナルの教材には、企業のノウハウや社外秘の内容が含まれていることもあるため、教材の内容によってはオンライン学習そのものが難しい場合もあります。
LMSは、企業ごとにシステムを構築し、アクセスするURLを付与する形になるため、セキュリティ面の問題をクリアしています。自社のノウハウを含んだ機密性の高い教材も、安心してeラーニング教材として活用することができます。
【企業・法人向け】資格学習や社内研修で使えるeラーニング『教材』とは?
eラーニングを導入する事で社員や企業にどのようなメリットをもたらすのか
以上、eラーニングとLMSの違いについて解説していきました。
eラーニングシステムとLMSは同義語とされがちですが、