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eラーニングをうまく活用できる企業になるためには

2023.03.16

はじめに

はじめに

コロナ禍の影響もあり、働き方や学習方法が見直された昨今、手軽に導入できるeラーニングの需要は高まってきています。ところが、eラーニングを導入したものの、期待していた成果が表れていないな?と感じている企業も多いのではないでしょうか。
 その原因は、導入したことに満足してしまい、せっかくのeラーニングの利点を十分に活用できていないことが考えられます。むしろ利点の活用とは裏腹に、落とし穴にハマってしまっていると言っても過言ではないかもしれません。
 そこで今回は、eラーニングの利点を改め、活用できていない原因を解き、本来の目的を成功させる為の効果的な運用方法について、解説していきます。

企業や教育の現場担当者が抱えている悩みとは?

PowerPointファイルを用意する

 まずは、導入後に効果を感じられない点について、現場担当者の抱える悩みを見ていきましょう。

  • 大半の受講者がログインすらせず、ほとんど利用してもらえない
  • 思ったより受講が進んでいないのだが、その原因がわからない
  • 受講はしてくれたけど学んだことを業務において活用できていないのではないか
以上のように、受講者の状況を追えていないということがわかります。そこで自問自答してほしいのが、
  • 導入する目的は明確にしましたか?
  • 導入したことで満足していませんか?
  • 導入したことを受講者に認知されていますか?
  • 学習を受講者任せにしていませんか?
  • 受講後のフォローができていますか?
  • 受講後に実践できる環境は用意されていますか?

この問いに心当たりのある方は、きっとたくさんのコンテンツを含めたeラーニングシステムを導入したのだから、自ら学びたいものは必ずあるだろう、という受講者任せの期待をしているのではないでしょうか。これでは、活用できるものもできていない状況といえます。

eラーニングの利点と落とし穴の原因を知る

eラーニングの利点と落とし穴の原因を知る

そこで、問題解決の前に、今までも挙げているeラーニングの利点について簡単におさらいしましょう 。すると、そこから自ずと落とし穴が見えてきます。

過去の記事はこちら→https://itbee.co.jp/blog/blog003/

eラーニングの利点

eラーニングの利点

eラーニングとは、インターネットを利用した学習方法であり、以下のような特徴とメリットがあります。

  • 時間や場所を問わず自由に学習ができるため、多くの関係者に提供できる
  • 時間や場所及び人件費等にかかるコストが抑えられる
  • 同じ講師から学べるので一定の質が保たれ、受講者の理解度がばらつくのを防ぐ
  • 幅広いテーマを一斉に提供できるため、受講者の興味関心に沿った学びを提供できる

早速ここで落とし穴となるのが「時間と場所を問わず」の部分です。これは逆に言えば、受講するもしないも、受講者の意思に委ねられるということです。「いつでも受講できる」という利点が優先し、学習の優先度を下げてしまうのです。その為、なかなか受講が進まず、最終的には期限までに教材を視聴することが目的となり、本来の目的と逸脱してしまうというケースがあります。

eラーニングシステムの利点

続いて、e ラーニングシステムについて。eラーニングシステムとは、eラーニングを効果的に運用するためのもので、eラーニングだけでは補えなかった従来の問題解決の役割を果たしています。主には以下のような点が挙げられます。

  • 今までは教材を配布するだけで終わっていたものが、学習管理までできるようになった
  • 受講者を管理することで効果的に学習提供ができ、受講者のモチベーションを維持しながら効率的に進めることが可能となった

ここで気付いてほしいのは、eラーニングを実施するということは、受講者のフォローをしたり、教材コンテンツを改善したりというように常にシステムの「運用」が必要ということです。それができていない為に、「eラーニングシステムを導入したのに効果が表れていない」という原因も一つあると考えられます。

他にも考えられる原因

他にも有効に活用できない原因があります。それは導入前に重要になること、導入してからわかることなど、以下が挙げられます。

  • プロモーションなどが足りず、そもそも受講対象者にeラーニングがあることを知られていない
  • 自社の目的に合ったeラーニングを選べていない
  • 受講者のレベルや、仕事にマッチするコンテンツ受講者に合ったコンテンツを用意できていない
  • 受講生にあったコンテンツを管理者が把握、選定できていない
  • コンテンツのクオリティが低い
  • 学んだあとに実践の機会がない

原因を解消し、うまく活用する為の対策

視聴者の感想を聞く

これらの原因を解消する為には、目的を明確化し、それに合ったeラーニングシステムの導入をすること。そして導入をして終わりではなく、しっかりとシステムを運用し、インプットする受講を終えたあとも、アウトプットするための環境を用意することが重要です。
次項からはこれらについての具体的な対策を、段階ごとに詳しくお伝えします。

運用のステップと具体的な対策

①導入前に心得や注意点を知っておくと共に、導入目的を明確にする

導入前は、利点を知っておくことと同様に、目的を明確化させ、それに必要なプロセスを考えましょう。また、以下のような心得や注意すべき点を知っておくと、運用がスムーズにいくでしょう。

  • eラーニングは万能ではないことを理解しておく
  • eラーニングは手軽く導入ができるが、管理、運用は決して簡単ではない
  • システムは導入して終わりではなく、正しく運用する必要がある
  • 学習を受講者任せにしてはいけない
  • 受講者の目的や受講する動機付けを徹底する

特に、受講開始前にどれだけ学習の優先順位を上げられるかは大事な鍵となります。
受講の必要性を感じていない場合には、「今のままではまずい」「こんなスキルが求められるのか」「しっかり学ばなければ」という気持ちを持たせることで、学習の必要性に気付かせ、意欲を喚起させることができます。
例えば、

  • 同僚や、目標にしたい上司など、具体的な人物との比較
  • 学習前後の学習効果の可視化
  • 企業が求める必要な人材を掲示する

などで対策をしてみましょう。
 その流れから、受講を通じて何を学び、何ができるようになりたいのかを意識させ、学習目標を言語化させ、具体的なスケジューリングまでさせましょう。

以上のように、始める前の準備でさえ手取り足取りとなりますが、導入を無駄にしないためにも始めが肝心です。運営側として動機付けをしっかり行いましょう。

②受講者の意見に合わせ必要なコンテンツを準備し学習を始める

例えば、大学卒業したての新入社員にMBAレベルのコンテンツを受講させたり、
レベルの高い社員に、基礎的なレベルのコンテンツを受講させても、時間と意欲の無駄になってしまいますよね。
どのように受講者を選定するかにもよりますが、もし一人ひとりしっかりフォローのできる体制であれば、経歴やレベルに合わせることはもちろん、実用志向の受講者には業務の具体的な場面を示しながら役立つコースを提示したり、自尊思考の受講者には他の受講者の受講状況を提示したりして、目的やタイプ別にコンテンツを選定するのが良いでしょう。

そして、コンテンツの内容も大事ですが、クオリティも重要。個人でYoutubeやNetfilxをはじめとした、オンライン動画を見慣れている人たちに対して、素人がただ話をしているだけの動画や、聞き取りづらい声で、動かないパワーポイントの動画を見せたところで、学習効果どころかその時間は苦痛でしかなくなってしまい、この施策そのものに対して マイナスの感情を生んでしまいかねません。
もともと、社内教育とは、自分の仕事の価値を上げるための物であるはずなのに、これらのマイナスの経験が、むしろ下げるための物(時間の無駄)として認知され、以降一切受講されない原因となってしまいます。 より塾者の学習意欲が湧くように、クオリティという部分も、落としてはいけないポイントです。

③プロモーションを行う

せっかくここまで構築して準備をしても、受講対象者に気付いてももらえてないとしたらそれだけ無駄なことはありません。そのためにはプロモーションをしっかり行って周知させることが重要です。
社内受講だからと言って、プロモーションをおろそかにすると、誰にも周知されていない、受講するモチベーションがわかない、といったスパイラルに陥ります。
うまく活用している企業は、ある程度のコストをかけてメールマガジンを送ったり、社内にポスターを張るなど、社員に知ってもらい、モチベーション高く受講してもらうための工夫をしているので、参考にしましょう。

④受講者のフォローを行う

一日で終わる集合研修とは違い、eラーニングは数週間から数か月にわたり受講期間が設けられていることが多いです。その為、目的を明確にしていたとしても、コンスタントに受講を続けることは容易ではありません。受講者に任せっきり、投げっぱなし、放置のままでは、学習効果が下がる受講者が大半となり、最後まで受講しきれない方や、受講期間ぎりぎりに駆け込みで終わらせる方が増えてしまいます。

本来ならばこの点が特に、eラーニングシステムを生かせる部分です。受講者の管理とフォローができるようになったのだから、受講者のモチベーションを維持させる為にもしっかり行いましょう。
運営側からの具体的なフォローとしては、

  • 受講状況の管理
  • 受講者へのリマインドを行う
  • チャット機能を利用し質問に対して迅速に応える
  • スケジューリングのサポート

などが挙げられます。対象者の特性を踏まえながら定期的なコミュニケーションをとることで、受講者のモチベーション維持をサポートしましょう。

そして、一通りの受講を終えた際には振り返りができるよう、運営側からアプローチしましょう。数か月かけて複数のテーマ・領域を学んでいる場合は、受講期間中でも振り返りの機会を設けることをおすすめします。
振り返る上では具体的に下記を意識することが重要です。

  • 考えを言葉にする、考えたことや感じたことを言葉にさせる
  • 事例や登場人物、状況を客観的に分析させる
  • 教訓や原理原則を自分の置かれた状況に引き寄せて考え、自分の課題や弱みを反映させて考える

このように、学習した内容の対象者を置換したり、言語化することによって、学んだことは定着していきます。そこまで手厚くフォローができると、挫折を防ぎ、より成果に導きやすくなるでしょう。

⑤効果の分析と改善を行う

受講を終えた後は、受講したことでどのくらいの効果があったのか、改善点はないかを確認します。学んだ内容はインプットするだけではなく、アウトプットしなければものにならない為、そのような機会を設けることはとても有効です。
例えば以下のような事例が挙げられます。

・テスト機能を活用し

業務と関連させる方法は実践的で、現場でも即戦力になる為、受講した意味を得られやすいです。もしテストに不合格だったとしても、実践することで自分の中の知識を整理する良い機会になります。
なかなか身につかない場合は、何度も繰り返し反復練習をして型として覚えさせるまで受講者の意識を持って行かせることができれば、学習の効果がかなりあったということになります。

・受講者同士で情報交換や、問題を解き合う機会を設ける

この方法も、考えが整理されるとともに新たな視点が得られます。ディスカッション やグループワークなどは良い例です。アウトプットの質が高まり、成果を得られる可能性も高まります。

このように、効果の分析と改善を繰り返すことが、受講者目線の効果的な活用法につながるのです。

さいごに

忘れてはいけないのが、eラーニングのゴールと、育成の目的を混同しないことです。
eラーニングに期待できるゴールはあくまで知識習得までなので、eラーニングを受講しただけで、業務のパフォーマンスを上げることは容易ではありません。育成の目的を達成するためには、学んだ内容を実務へ紐づけるためのフォローまで行うことが重要、ということを年頭に置いておきましょう。
そこまでができて、はじめて効果的に活用ができたこととなります。

ということで今回は、eラーニングをうまく活用できる企業になるための方法についてお伝えしました。これから導入をお考えの企業様にもご参考になったことと思います。
落とし穴には今回のような対策をうつことで、eラーニングによる学びを最大限に活用できる企業を目指しましょう。

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