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eラーニングの市場規模や効果を解説|どんな学習におすすめ?

2024.03.28

はじめに

はじめに

近年、eラーニングは企業の社員教育に有効な手法として注目を集めています。その背景として考えられるのは、従来の社員教育の手法である集合教育やOJTでは効果が得られにくくなっているという企業の内部要因と、コロナ禍に伴う働く環境の変化や、DXが推進される社会環境などの外部要因が挙げられます。

企業にとって重要な経営資源である「ヒト」への教育効果を高め、企業の存続・成長を図るために活用されているeラーニングについて、今企業に必要とされている背景や理由、市場規模について解説していきます。

市場の概要

市場の概要

eラーニングとは、インターネットを通じた電子的な手段で受講者にトレーニングを提供することを指します。学生は、教育コストの削減や専門コースの学習など、eラーニングのいくつかの利点を活用することができます。企業では、従業員のパフォーマンスを向上させるため、大半の組織がトレーニングプログラムの一環として取り入れています。

eラーニングの市場規模

市場の概要

矢野経済研究所の調査によると、2022年度は前年度比4.3%増の3,705億円で、BtoB・BtoC市場いずれも市場が拡大した年であったとのこと。そして2023年度の国内eラーニング市場規模については、前年度比1.8%増の3,773億円と予測されていました。(2023年4月11日時点)
※調査は2023年1月~3月、eラーニングのシステム開発・構築・販売事業者およびコンテンツ開発・製作・販売事業者、eラーニングを介した研修や講義を提供・運営する事業者や学習ソフトウェア開発・製作・販売事業者等を対象に実施されています。(調査結果は「2023 eラーニング/デジタル教育ビジネスレポート」として2023年3月27日に発刊。)

eラーニングの今後の動向

市場の概要

続いて、なぜこの数字が導き出されたのか、市場に分けて分析してみましょう。

BtoBは伸び悩み傾向

まず、BtoB市場はコロナ禍による対面教育の制限により、eラーニングを導入する企業が増加したことで前年比を上回ったと予測できます。また、前年と同様スマートフォンやタブレット端末で活用できる学習ツールの多様化なども、eラーニングが多くの業種・企業に浸透している理由として挙げられ、このまま需要増加が期待されていました。
しかし、コロナ禍の状況回復や時代の流れと共に懸念事項も考えられるようになります。 例えば、

  • 顧客の裾野拡大による小規模導入の増加の影響から、顧客単価の下落
  • 市場規模拡大による競合状況の激化
  • 対面教育の復調によるeラーニング利用機会の縮小

これらのような影響により、引き続き市場拡大となるものの、その伸びは鈍化傾向に進むものと予測しています。

BtoCは堅調に売上を伸ばす

一方、コロナウイルスの感染拡大における対面教育のストップなどを理由に、前年比を大幅に上回る結果になったBtoC市場は、コロナ禍の沈静化によって全般的に需要の落ち着きが想定されるものの、水位は安定傾向にあります。
その理由としては主に、

  • 学習ツールとしてeラーニングの一般化が進んでいること
  • 学習塾を中心に講師、指導者の人的リソースをeラーニングでカバーする需要は引き続き堅調な推移が考えられること
  • 働き方がリモートワークに代わったことで生じた余暇時間を学習にあてる社会人の増加が一般的にも見られていること
  • タブレット端末が配布されるようになった学校での授業や、今まで紙面提供だった通信講座などでも、eラーニングを組み込んだ学習が増加傾向にあり、サービスの多様化が進行していること

これらを受けて、微増ながらも拡大を予測しています。

eラーニングが社員教育として注目される4つの理由

eラーニングが社員教育として注目される4つの理由

今後の市場傾向が見えたところで、企業がなぜeラーニングに注目するのか、その理由を今一度整理しましょう。

変化の早さに対応した社員教育が可能

消費者の価値観が多様化した今、企業は新しい製品・サービスを次々に生み出さなければ、ビジネスを成功に導くことは困難です。しかし、社員が新しい変化に対応する知識を身に付けるには、集合研修ではコストも時間も手間もかかり、十分にできません。だからこそ、すばやく必要な社員教育が実施できる手法としてeラーニングが期待されています。

多様化する働き方に合わせた学習方法

正規社員が減少傾向にある現代社会は、働き方の多様化も目立ちます。自社への帰属意識が低下する中、従来のような一律的な社員教育ではなく、場所や時間を問わずに、従業員のタイミングに合わせて実施できる教育スタイルが望まれています。

国際化への迅速な対応を取り入れるため

グローバル化が進む昨今、海外に進出する企業が増えるとともに、海外から社員を受け入れることも増えています。国籍・人種・文化・言語が混在する中で、集合研修が最適な方法とは言えなくなっているのです。多様な人々に対し、きめ細やかに教育を実施できる手法として、eラーニングが効果的と考えられています。

コスト削減に貢献される

集合研修を実施することの多い企業は、会場費・交通費・宿泊費など、研修を行うための費用が高額になります。また、集合研修だとその場限りの教育となり、改めて学習する際に使用できる教材が議事録のみになりかねません。eラーニングであればインターネットを介して、同様の研修を遠隔地の人にも届けられ、コスト削減にもつながるため、導入する企業が増えています。

BtoB向け:企業におけるeラーニングの効果

企業におけるeラーニングの効果

続いて、実際に企業に対して提供しているeラーニングはどのように活用され、効果を得ているのでしょうか。その活用シーンを紹介します。

企業の内定者教育で活用

内定者の教育を目的にeラーニングを導入する企業の数が増加傾向にあります。内定者教育を行うことは企業にとっても多くのメリットがあります。
入社段階である程度の知識を積んだ新入を迎え入れることができ、早期の戦力化を見込むことができる、といった点です。しかし、内定者はまだ企業に入社前のため、いる場所も学習可能な時間もバラバラであり、集まっての研修を行うのは難しい状況です。そのために、いつでもどこでも学習が可能なeラーニングは最適な解決方法になります。

企業の新人研修で活用

企業に入社後、業務を行えるようになるために新人研修が実施されますが、毎年同じような内容の研修を実施することも多く、それらについてはeラーニングのコースを作っておくことで、研修を実施するコスト、教える社員の時間等を削減することができます。さらには研修受講者の学習・成果進捗を測ることも可能です。また、その後の配属に向けた判断材料にも活用されています。

企業の遠隔教育に活用

地方に支社をかかえる大企業などが全社共通の研修を行う際に、eラーニングを活用する機会が増えています。先述したように、全社員が集まるような集合研修では会場費などのコストが大きくかかります。eラーニングを導入することで、会場費などのコストをかけずに全社員共通の研修を実施可能です。

社内の情報伝達ツールとして活用

社内で資料やアンケートの共有といったコミュニケーションをとるために、導入する企業もあります。社内SNSとは違い、社員向けにテストやアンケートを一斉送信・回収するためのツールとして活用されています。

教育機関の教職員や学生の教育に活用

高校や大学などの教育機関にもeラーニングが導入されています。通学を伴わず予備校や資格学校の授業を受けられるようにと配慮されるようになったことが背景にあります。 また、高校や大学がeラーニングの教育プログラムを導入していることは、入学者増を目的としたブランディングの効果もあるでしょう。

BtoC向け:どんな学習におすすめか

どんな学習におすすめか

企業から消費者向けのeラーニング教材で特にユーザー数に伸びがあるのは、プログラミング教育、オンライン英会話の2つです。これらの業界はここ2年間でユーザー数が増加しており、業界全体の成長が見受けられます。(ヴァリューズが提供するWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」調べ)
具体的にはどのような学習内容なのか見ていきましょう。

プログラミング教育

プログラミング教育のねらい・目的は、「プログラミング的思考力を鍛える」「テクノロジーの仕組みへの理解を深める」「ITを活用する力を育む」「IT社会に積極的にかかわる人材を育む」の4つがあります。社員がIT技術を学び、スキルを習得すれば、業務の効率化や生産性の向上につながります。
教材の内容の例としては

  • IT基礎知識
  • プログラミング言語の扱い方
  • プログラミング開発の全体的なフォロー
  • ITリテラシーやセキュリティに関する知識
  • 実務を想定したプログラミング訓練 等

いずれもプログラマーとして働く際に身に付けておきたい知識やスキルとなります。初歩的な研修には、ビジネスマナーやビジネスメールの送り方といった内容が含まれる場合があります。

オンライン英会話

グローバル社会はまさに英語力が不可欠な時代となりました。義務教育で受けさせられるがままに受けてきた英語の授業でもお分かりのように、週に数回、数時間の学習では英語力は身に付きません。そこで、移動時間もなく自宅学習が可能なeラーニングはコンスタントに学習ができる為、英語力を養うために最適な方法と言えるでしょう。
特に仕事で通用するためには会話ができなくてはなりません。そこで、英会話学習の内容の例を見ていきましょう。

  • 単語学習
  • ディスクテーション(音声を聞いて英語フレーズを書きとる練習)
  • 統計データを読み込んで問題に答える練習
  • 発音訓練
  • オンライン英会話 等

ただずっと講師と話しをするだけでなく、事前学習や復習が可能なeラーニングを活用することで、実践につながる内容となっています。

リカレント教育

このような個人向けの学びは、リカレント教育とも通ずるものがあります。
リカレント教育とは、学校教育から一旦離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことです。日本では仕事を休まず学び直すスタイルもリカレント教育に含まれ、社会人になってから自分の仕事に関する専門的な知識やスキルを学ぶ為、「社会人の学び直し」とも呼ばれます。これも、コロナ禍で時間ができたゆえに再注目された背景があります。リカレント教育として活用されているものは数多くある為おすすめは一概に言えませんが、興味あることは改めて学べないか、もっと深堀りできないか、まずは積極的にeラーニング業界を調べてみることから始めてみましょう。

企業にも個人にも効果的なリスキング

企業にも個人にも効果的なリスキング

toB、toC市場それぞれに沿って解説してきましたが、DXが推進される社会環境、人材育成の必要性の高まりからeラーニングでのリスキリングも注目を集めています。リスキリングは、個々の学習者のレベルに応じた学習の提供が求められることや、働きながら新たな知識やスキルを習得する必要があることから、eラーニングとの親和性が高く、企業にも個人にもその効果を示し始めています。そのため、今後はリスキリングをキーワードとした需要が高まり、学習機能だけでなく、これらに対応したサービス提供も増加していくと考察しています。

さいごに

さいごに

今回の記事では、これからますます需要拡大が期待されるeラーニングの市場規模や動向、その効果についてご紹介しました。
経済のグローバル化や企業間競争が激化する昨今、優れた人的資源の開発は企業の存続と成長に必須な条件の一つです。人的資源の開発に関する課題感を持っている大手企業から、中堅・中小企業でもeラーニングへの投資が拡大していくでしょう。
eラーニングを利用して効率的な人材育成を考えている企業様は、eラーニング導入のプロ集団であるITBeeのSpeedLMSをぜひお試しください。

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