2024.01.25 更新日: 2024.10.08
目次
学校や塾だけでなく、企業研修でも注目されているオンライン学習。
対面式のオフライン学習に対し、Web上で学習を進めていくオンライン学習は、年々認知と採用が広がってきています。
この記事では、オンライン学習とはどのようなものなのか、メリットとデメリットを紹介していきます。
また、オフライン学習と比較し、それを踏まえ実際にオンライン学習を行う際に注意したいポイントについても具体的に解説していきます。
オンライン学習とは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのデバイスを活⽤してネットワーク上で学習を行う学習方式のことです。
従来は、講師と受講者が決められた時間と場所に集まって学習を進めるしかなかったものが、インターネット環境とデバイスさえあれば世界中どこにいても学べるようになり、ここ最近ではコロナ禍をきっかけに、多くの企業でオンライン学習が取り入れられるようになりました。
種類としては、必要に応じて配信を行うオンデマンド配信や、リアルタイムでのライブ配信などの形態があり、目的によって使い分けることができます。
そのため企業だけではなく、小学生向けや中高生向けのサービスも広がっており、対象に合わせて内容を選べる点も魅力です。
オンラインでの学習や研修は大きく分けて2種類の形態があります。
ひとつは、受講者が録画データをいつでも視聴できるオンデマンド配信、もうひとつは、決められた時間にリアルタイムで動画を視聴するライブ配信です。
オンデマンド配信はコンテンツ学習であり、eラーニングと同種のものです。
そして、現在オンライン研修と呼ばれているものの大半はライブ配信であるウェビナースタイル(※)で、これは、従来型集合研修をWEB会議システムなど活用してオンライン化したものです。
※ウェビナーとは、ウェブとセミナーを合わせた造語のこと。双方向のコミュニケーションがとれるウェブミーティングと違い、開催者であるホストとパネリストが中心となって行うため、人数が多い大規模なセミナー配信などに向いている。
オンライン研修には、集合研修にはない様々なメリットがあります。
オンライン授業のもっとも大きなメリットは、全国どこからでも授業が受けられるという点です。
会場に来る必要がないので、物理的に参加が難しいという社員にも研修の提供が可能。
自宅からはもちろんのこと、環境が整っていれば外出先からでも授業を受けられます。
出張が多い人や、残業が多く決まった時間に通うことができない人にとっても、継続しやすい学習方法です。
のメリットとして、主催者側の研修にかかる事務的な負担を減らし、効率的に実施できる点が挙げられます。
集合研修の場合、講師と参加者のスケジュール調整や出欠確認、会場準備、提出物管理などに時間や労力がかかっていました。
しかしオンライン研修では、Web上で一元管理が可能なので、面倒な事務作業から解放されます。
また、参加者側にとっても時間の融通が利きやすいため、業務の合間や会議後にすぐ研修を受けるといった効率的な参加が可能になります。
集合型のオフライン研修は、受講者・講師の交通費や宿泊費、また会場費など、多くのコストがかかるものですが、オンラインで研修を実施することで、受講者が会場へ足を運ぶ必要がなくなるため、それまでかかっていた様々なコストの削減につながります。
オンラインで研修を行えば、業務が忙しいため時間がとれない社員や地方勤務で本社での研修参加が難しい社員でも同じ研修を受けることができます。
また、すべての受講者が同じ教材を使用するため、研修の場所や講師の違いによって研修の質が変わってしまうという問題も解決でき。研修のクオリティを一定に保つことができます。
研修教材に修正箇所があった場合、従来であれば回収・訂正・再配布などが必要でしたが、オンライン研修ではデータを修正してオンライン上で共有するのみなので簡単に対応できます。
教材が紙媒体である場合、参加人数の増減によって印刷の不足や余剰が発生するケースがありますが、オンラインであればそれらのリスクはなく、一斉に配布することができます。
資源削減の面でもメリットが大きくなります。
各受講者の学習状況を、ライブ配信やオンデマンド教材の視聴などのログデータに紐づけて管理することで、各々の進捗を簡単に把握できるようになります。
オンライン会議システム上のチャット機能やアンケート機能を活用することで、受講者がどの程度内容を理解しているのか、細かくチェックすることが可能です。
特にライブ配信で行う場合は、研修プログラムの中で受講者の理解度をチェックし、理解度に応じた研修内容に随時変更していくこともできるでしょう。
このように様々なメリットがあるオンライン研修ですが、一方でデメリットもあります。
デメリットをきちんと把握しておくことで、他の方法を効率的に組み合わせて欠点を補完することができるでしょう。
このように様々なメリットがあるオンライン研修ですが、一方でデメリットもあります。
デメリットをきちんと把握しておくことで、他の方法を効率的に組み合わせて欠点を補完することができるでしょう。
ツール・システムについては、専門的な理解が不可欠です。そのため、導入準備に時間的なコストがかかることも忘れてはいけません。
場合によっては、外部の専門会社と連携した方がいいというケースもあるでしょう。
その場合には、金銭的なコストがかかります。しかし長期的な視点で比較すると、集合型研修より断然費用は抑えられます。
オンライン研修には、安定したネットワーク環境が欠かせません。Web会議ツールを使用する場合には、光回線に接続できる環境があれば安心ですが、受講現場や受講者全員がそのような環境を用意できるとは限らないでしょう。その為、オンライン研修を行う際は、事前に受講者へネットワーク環境の整備をお願いすることや、ネットワーク環境が準備できない場合に対する対応も検討しておく必要があります。
システム・ネット環境に不具合があると、講義の途中から音声が聞こえなくなった、画面が途切れてしまうなどのトラブルが発生し、運営そのものが困難になってしまう可能性があります。
オンライン研修では、直接人と応対して行う実習や機器の操作などの実技の講習は難しくなります。
どうしてもオンラインで研修する必要がある場合は、概要や方法などを簡単に説明するなどに留め、実習や実技は集合研修や勤務の場で行うというように段階を分ける方法が望ましいでしょう。
Web会議ツールでは参加者のビデオ画像を映すことはできますが、参加人数が多くなるほど画像は小さくなるので、一人ひとりの反応を確認するのは困難です。
また、映っている部分しか見えないため、メモを取って聞いているのかどうかなど参加者の学習姿勢もわかりづらくなります。
そのため、どうしても講師側の一方的な説明になってしまいがちというデメリットがあります。
目の前に講師がいて周囲に同じように研修を受けている参加者がいるという集合型研修は、緊張感や集中力が高まります。
しかしオンライン研修では、画面越しでの受講になるのでコミュニケーションが希薄化しやすく、ライブ感や熱量も伝わりにくくなる上に、カメラオフで行う場合は受講の強制力が弱くなり、参加姿勢に問題が生じる可能性もあります。
また、研修が単調になりやすいことも、参加者の集中力を途切れやすくする原因の一つです。講師にはオンライン研修ならではの進め方や、オンライン研修に特化したスキルが求められます。
対面で行うオフライン研修は、研修会場で講師と受講者が集まって研修を行います。
オンライン研修と比べるとどのような違いが挙げられるでしょうか。
オフライン研修のメリットは、よりリアルな形で研修を受けられる点です。
オンラインよりも発音や会話の内容が聞き取りやすいので、円滑なコミュニケーションが取れます。
わからないことがあったときにすぐ質問できるなど、オンライン研修よりも会話のテンポをつかみやすいので、効率的に学習できます。
オフラインでは1つの場所に参加者が集まるため、参加者への「強制力」が働く場となります。研修に対する関心の有無にかかわらず、参加者が勝手な行動を起こすことが難しい環境です。
オンライン学習はオンとオフの切り替えがしにくいですが、オフライン学習は現場に向かう間に気持ちを切り替えることができ、会場という学習の場に身を置くことで、メリハリがついて緊張感と学習意欲が高まる点もメリットです。
いずれにせよ、リアルでしか感じられない部分が、オンライン学習には解消し難い課題といえるでしょうか。
このように、オンライン研修は場所を問わず簡単に参加できる便利なものでありますが、対面の研修とくらべて受講者の反応や状況を把握しにくく、伝えるべきことが伝わっているのかの判断が難しいため、オンラインならではの配慮が求められます。
それ故にポイントとしては、繰り返してはっきりと話し、時には文字にして伝えるなど、双方向のやりとりで理解度を確認しながら進行することが大事といえ、対面以上のコミュニケーション能力・伝える力がオンラインの場合には重要となってくるでしょう。
また、オンラインでは視覚と聴覚に集中するため、参加者は情報をため込むだけの学習になりがちです。
この問題を解決するため、オンライン会議ツールのグループワーク機能等を活用し、それぞれに講師やファシリテーターをつけ、より個人にフォーカスした指導や介入を行う研修などをし、インプットだけではなく、アウトプットの機会を与えて学びへの理解を深める工夫をすることも大事です。
以上のように、実施者側から受講者への最適な伝え方については方法を模索しているという状況であり、今後の課題といえます。
しかし、座学を中心とした内容については、オンラインやオンデマンドを活用した研修の方が合理的であることは確かであり、他にも効率的な面でメリットの多いオンライン学習の広がりが止まることはないでしょう。
一方で、機械の操作方法や顧客対応など、実技が必要になるような座学で完結しないものや、自分だけの意見ではなく、他者と情報共有や、意見交換をすることで議論や思考が深まる内容の場合は、オンラインに拘らず、対面(リアル)を取り入れるなどして課題解決を図っていきましょう。そうすることで、知識が定着しやすく、学習効果のアップにもつながります。
この記事では、オンライン研修のメリット・デメリットや、成功のためのポイントについて解説してきました。
そもそもオンラインとオフラインは構造が異なります。その為、オンラインorオフラインなのか、ではなく、内容・シーンにより、知識の伝達を目的とする場合はオンライン研修、実技やロールプレイングを伴う内容は集合研修などというように、最適な方法を見極めることが、より本質的に伝えるための手段であり、重要なのではないでしょうか。